北条町地域エネルギー研究会

第3回研究会(戦略会議)概要

 

日 時:平成15年1月15日 午前9:30〜

場 所:鳥取大学地域共同研究センター

 

出席者:光多委員長(鳥取大学教育地域科学部教授)、林委員(鳥取大学工学部教授)、宮内委員(鳥取県商工労働部自然エネルギー開発推進室長)、若委員(鳥取大学教育地域科学部教授)、山根委員(北条町商工会経営指導員)、岩木委員(北条町民)、杉田委員(北条町民)、中西委員(北条町企画課)、澤ワーキンググループメンバー(鳥取大学・共同研究員)、加藤ワーキンググループメンバー(鳥取大学・共同研究員)、劉薇ワーキンググループメンバー(鳥取大学大学院・林研究室所属)、岩垣ワーキンググループメンバー(北条町企画課)、松本昭夫北条町長

 

【「鳥取県企業立地促進補助金」について、林委員が説明】

(林委員)

はじめに県の助成制度について。「鳥取県企業立地促進補助金」というものがあり、風力発電事業はこの対象事業である「製造業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、その他知事が特に必要と認めた事業」と、「先進的技術や鳥取県の資源を活用する事業」に該当すると考えられる。両方が適用できれば、合わせて、総事業費から国の助成を差し引いたものに対して最大15%の助成を受けることができ、最大4億円の助成になる。これは新しい雇用1人に対して、1年間だけだが70万円が助成される。県からは、北条の事業に関してはこれが適用できるので検討してみてください、とのことだった。ただ、雇用が10人以上ということで条件が難しく、どの範囲の雇用まで対象になるかなど、検討が必要。

(宮内委員)

企業に対しての助成なので、町ではダメで、民間又は3セクがすべてやる場合でないといけない。あくまで企業が対象となる。

(中西委員)

投資額と雇用の2つの要件があり、これらをクリアしてないといけない。雇用10人以下なら対象外。事業をするに当たって、新規に地元から雇用した者が対象。

(林委員)

この風力発電事業で使える県補助は、この2つだと思う。雇用10人以上ということについて、発電事業だけでなく、これに維持管理部門や研究部門などが入ったら、どこまで認められるだろうかということを考えている。

(光多委員長)

例えば、別の会社が施設を建設し、それを町に譲渡し、雇用は住民・運営は3セクの場合は、対象にならないか。

(中西委員)

それは対象にならない。元々2つの制度があり、投資した額に対する補助と、固定資産税の減免というのがあった。固定資産税がかからないような所有の仕方だと、該当しない。

(光多委員長)

1つ考えたのは、もし会社が施設を持てば固定資産税がかかるなら、施設利用権を持たせようと思ったが、施設利用権は無形固定資産だから、それでは制度の対象にはならないということだ。実際に民間が所有して固定資産税があることが条件。

(岩木委員)

合併してしまうと、民間から町へ売買するというのは無理なんじゃないか。町単独の場合はいいかもしれないが、合併すると厳しいと思う。

(光多委員長)

基本的な考え方として、合併する時に持参金を持っていくということを考える。債務はあるけどこういうすばらしい資産があると。合併の前に契約すれば、合併しても契約は自動的に引き継がれるので、最初に何年か後に買い取るという契約を結べば、全く問題はないと思う。

(杉田委員)

インフラ整備に6億かかって、キャッシュフローが厳しかった。しかし、4億補助が入ることで、採算性がぐっと上がってくると思う。それで、建設することで町や合併してからの財政負担になるのではなくて、それが自治体の財源になるのだから、そちらを重点的に考えた方が意味があると思う。

(光多委員長)

ある面でいくと助成金がもらえ、別の面でいくと人件費が出て行くということになるし、もう一度採算シミュレーションをし直さないといけない。県からは、現時点ではこの補助金の利用を考えるのがベストということだった。これがダメなら、また別の方法を考える。

(中西委員)

皆さん揃われましたので、町長からあいさつをいただきます。

(松本町長あいさつ)

あけまして、おめでとうございます。いよいよ平成15年度、本格的な風力発電事業推進に向けて予算措置をしなければならない。いろんな問題点があると思うが、前向きに考えていただいて、皆さんに知恵を出していただきたい。どうかよろしくお願い致します。

(光多委員長)

もう一つ報告しておかなければならないが、中西委員からのメールによると、政策投資銀行広島支店ができるだけ手伝いをしたいと言っていたようだ。松江事務所も、できるだけ私に会いたいと言っていた。鳥取銀行も、地元地域の振興として、できるだけ応援したいとのことだった。中国電力も、非常にこのプロジェクトに対して前向きに考えているようだ。入札の関係の問題についても、RPS制度のほうが有利だと聞いている。町が保有するなどで事業を行った場合で政策投資銀行の融資対象とならない場合でも、鳥取銀行は融資したいと言っていた。今の流れで行くと山陰合同銀行にも話をすることになると思う。施設は鳥銀でとか、運営資金は合銀でとか、何かの形があると思う。とりあえず入札関係の話から進めましょう。

 

【「電力入札の状況」、「RPS制度について」について中西委員が説明】

(林委員)

RPS制度になって、買取ノルマが達成できなければ、罰金が科せられる上に会社のイメージダウンになる。将来的には電力会社の競争になるだろう。

(光多委員長)

入札よりもRPS制度の方が有利だと思う。売電単価が11〜15円になるということだった。

(中西委員)

RPS制度のクレジット価格部分の7〜11円というのは、経済産業省の正式な通達としてまだ出ていないし、その保障期間も決まっていない。

(光多委員長)

しかし、契約してから単価を変えられるということなら、ちゃんとした契約をしておかないと事業に乗れない。

(中西委員)

その辺りのことがあって、中国電力も、入札をした方が良いのか、RPS制度で証券化したものを買う方が良いのか悩んでいるらしい。九州電力はあと3年は入札で行くと決めているようだが、他の電力会社はまだはっきりしないようだ。中国電力に聞くと、管内で新たに事業を予定しているのは北条町しかないということだった。1つしかないということだったら、入札ということになっても競争相手がいないので、様子見ということも考えられるんじゃないか。

(光多委員長)

15年なら15年ということで、価格が固定されないと、政策投資銀行などが乗ってこれないので、ここの保障はしてもらいたい。制度としては、多分8割方RPS制度だろう。その時の条件が問題だ。最終的に国がガイドラインを作って、中国電力がどうするのか決まるのは、いつごろなのか?

(中西委員)

この4月から新制度が始まるし、その対応についての周知期間も必要として、2月ごろになるのではないか。1月20日には、中国電力が入札する・しないを決定し、それから段々決めていくと思う。

(林委員)

全国一律に決まるのだから、それを見てどうこうという話ではないのではないか。むしろRPS制度は有利だと思うが。

(中西委員)

4円の買取義務というのも、7〜11円のクレジット価格というのも、正式にはまだ出ていない。

(光多委員長)

上半期中には全体の骨格が決まるということで、意思統一しておくということで良いのではないか。来年度予算に関してはどうか。

(中西委員)

泊村も1基建てたし、合併も迫っているので、できるだけ15年度には町直営で建設すると想定して建設計画と基本設計、実施設計の予算をとりあえず計上しようかと考えている。それが出て、総事業費が分かった時点で補正して事業費を予算化しようと思う。

(光多委員長)

基本設計まででどれ位金額がかかる?

(中西委員)

まだ正確には分からないが、基本設計と実施設計を合わせて総事業費の1割くらい。その中で基本と実施の割合は3対7くらいだと思う。総事業費約30億の1割で3億。それの3割だから、1億程度だと思う。

(光多委員長)

町と民間の比較のために1億使うのは勿体ない。今の段階で基本設計27億ですよ、これよりもいいものがあるところがあれば採用しますよということを、基本設計の段階で提案してはどうか。

(中西委員)

設計を町がやるにしても、結局外注になってしまう。

(光多委員長)

民間がすれば、普通はそれよりいい提案が出てくる。とにかく町が自らやるということで予算を作っておいて、3セクなり単独なりという形が決まってから、修正するというのはどうか。予算的なタイムリミットは?

(松本町長)

2月中旬ごろまでなら良い。町長査定があるのがその頃。

(光多委員長)

県の助成を受けるとすると、町所有は難しい。すると、民間か3セクか。地域振興事業もやるとなると、3セクかなと思う。基本設計・実施設計は町がやるけれども、3セクを前提とした出資金も予算化するというのは?事業費から3セク出資金への振り替えが簡単にできれば良いが。予備費で出資金を置いておくというのはどうか。

(中西委員)

それよりも、事業方式が決まった時点で臨時議会を開いて、事業費等を予算化するほうが良い。

(光多委員長)

町が設計を行い、その後3セクに任せるというのが有力だと思う。そこをにらんで予算化をお願いしたい。着工はいつごろになる?

(中西委員)

実施設計に半年くらいかかって、年度内くらいではないか。どちらにしても、総事業費が算出できてから予算化しないといけない。

(岩木委員)

この事業に対して賛成・反対色々な意見の住民があると思うが、その合意をどうするのかと、参入希望の民間業者は既にあるのか。合併の問題にしても、すでにあるものは仕方ないが、これから作るものに対してどうなのか。

(中西委員)

予算を出す前に町としての方針を町民説明会などで説明し、意見を聞く。または予算計上後、執行前に意見を伺うか、2つのやり方があると思う。できれば前者で。3月議会の前、2月ごろにできれば。参入業者については、風車本体、出資まで、用地買収まで一括で、などいろんな形で事業を行う業者がやって来ている。

(林委員)

あと、発注してから完成するまでの納期がある。風車は世界的に不足しているから、完成まで2〜3年かかる可能性がある。早めにしないと。

(光多委員長)

2、3月ごろ、研究会が何かの形で町民に報告ということも考えましょう。

(中西委員)

3セクが建設して町が購入というのは、建設に関して競争原理が働かないと思うが。

(光多委員長)

民間から言わせると、町がつくるものは、ろくなものではないんじゃないか、と考える。それよりは民間がやる方が良いものを作る。設計を町がして、それよりいいものを作るところは多分あると思う。

(中西委員)

どこもなければ、町の設計を基本にして、入札して安い所に任せる。が、実体として町が設計するのは中々難しい。工事に対する見識ができるのかというのが一番の不安。

(光多委員長)

町がやるよりは民間がやった方が良い。それをどこが所有するのかというのは、次の問題。

これまでの3セクと違って、3セクに色々な提案を持って入ってきてもらう。なぜ3セクかというと、民間だけでは資本が充分集まらない気がするから。あと、町との関係。補助金とかについて、町が絡んだ方が良い。あと、民間だけでは事業がやりにくい。花嫁は私です、花婿を探します、という方が、現実的だと思う。

(林委員)

建てるだけでなく、維持管理、そして風車を倒す時のことも考えないといけない。維持管理に関して、ここは雷が多い。その修理をできるような仕組みをこの3セクの中に作っていかないと、成り立たないと思う。

(光多委員長)

町が所有していても、民間が維持管理しているところは幾つもある。

 

【「輸送に関して」について、澤ワーキンググループメンバーが説明】

(澤ワーキンググループメンバー)

国道9号の輸送について、現時点では検討不可ということだった。データを入力して検討する機械がこの辺りには無いそうだ。

(光多委員長)

実際に道路をいじるという可能性は?

(澤ワーキンググループメンバー)

それはある。あと、泊の港に80トンの消波ブロックを降ろした実績があり、漁協との協議が必要だろうが、そこに降ろすことはできるだろうと。で、迂回路を設ける。問題は漁港と国道9号の交差するところ。ここでクレーンを使って、乗り換えが必要になるかもしれない。恐らくブレードの積み替えだけできれば、あとは通行可能だと思う。あと、橋津と由良のマリーナも考えたが、問い合わせたところ、岸壁にしてないので無理なのでは、ということだった。泊〜北条で全面通行止めの区間ができるので、その協議に1年以上の期間を設けることが必要。あと、風車1基分の部品を運ぶのに、トレーラーが8台必要。9基だと72台以上。これが一晩に何台通れるのか。1基分が2〜3日かかるとして、夜中全面通行止めして全部で18日。60トンを超えるトレーラーなので、徐行が必要。車幅が3.5m以上で片道をはみ出してしまうから、道路は両側全面通行止めになる。この協議は、実施事業体、道路管理者、運送会社が行う。

(光多委員長)

この事業は民間の事業ではなく、公共の事業だということを理解してもらう必要がある。

(澤ワーキンググループメンバー)

泊は、冬場は海の荒れのため、陸揚げが無理。夏でないと陸揚げができない。とすると、スケジュールが前倒しになってしまう。

(光多委員長)

問題は分かったが、輸送自体は不可能ではないと。基本設計の中で、輸送も含めて、専門業者にやってもらう方が良い。

 

【「北条町風力発電の事業化方式について」について、中西委員が説明】

(中西委員)

ケース1が一番ベーシックだと思う。

 

【「町が直接建設した場合」について、中西委員が説明】

(中西委員)

町がやると、税金を払わなくて良いので、収支が良い。あと、利率が有利。最終的に7億の利益が出る予定。15年で償還が済んで、あと、20年の耐用年数まで、儲かるだけ。この中には、解体や特別な修繕費は含んでない。

(光多委員長)

支出の中の、修繕費、人件費の内訳はどうなっているのか。

(中西委員)

人件費1千万、残りの1千3百万は修繕費。あと、問題として風力を利用した地域振興がある。町単独では別途検討する必要があるだろうと思う。

 

【「町主体の場合の具体的手順」について中西委員が説明】

(中西委員)

建設計画を一括してコンサルに外注する。用地取得、建設も一括して発注。しかし、町が計画をチェックする能力が不安。

 

【「第3セクター方式具体的手順、問題点」について中西委員が説明】

 

【「風力発電を活かした地域振興について」について中西委員が説明】

(光多委員長)

これは、風力発電を利用した地域おこしだ。

(林委員)

地域おこしも含めた、全体としてのプロジェクトということで、知事を説得することが必要。

(光多委員長)

説得がダメだったら、しようがない。我々はやれるところまでやる、ということだ。「北条町風力発電の事業化方式について」のケース2の、3セクの採算モデルも出してみてください。この場合、用地については、町が3セクに無償で提供するか、貸すかで行う。固定資産税相当分は、3セクに地域振興名目で出す。

(中西委員)

具体的にこういうものが必要ということなら、委託料という形でも3セクに出せると思う。

(光多委員長)

包括的に、地域振興費ということで出せないか。

(中西委員)

3セクの信用の問題だと思う。

(光多委員長)

3セクが出資する意味は、建設して、維持管理して、地域おこしをやるということ。「町が直接建設した場合」の資料にはリスクが検討してない。それに比べて民間が入ると、リスクの計算も入るから、それを見込んだものが出せる。それと比べた場合にどうなのかということだと思う。

 

【改めて「鳥取県企業立地促進補助金」について澤ワーキンググループメンバーが説明】

(林委員)

10人の雇用ということで、風力発電事業そのものについてなのか、例えば地域振興事業等も含めて考えられるのか、交渉の余地がある。

(光多委員長)

NEDOからの補助金が7億2千万円。それと電力料金も含めてシミュレーションし、県に交渉に行かないと。

(宮内委員)

県の補助に関しては、立地としては問題ないと思うが、発電という事業がこの表では対象になっていないので、それを対象にしてもらうことが一点。あとは「先進的技術や鳥取県の資源を活用する事業」として上乗せ5%が可能かどうか。

(林委員)

この制度をうまく使えるよう、県と議論したい。あと、県から中国活性化センターに助成金申請をしてそれが通った。これは鳥取県中部を環境産業地域にしようということで、1千万円くらいの補助が受けられる。来年度から始まるが、倉吉の工業団地を環境産業にもっていこうということが考えられていて、その一環として、風力発電があり、地域振興があるんだと繋げる事もできる。その全体の絵を今から描こうというプロジェクトが始まる。

(光多委員長)

あと検討課題だが、予算でマーケット調査料が100万円程度必要だと思う。これは、民間がこの事業に対して幾らくらい出資して、どんなことを希望しているのか、それを調査するもの。それと、中国電力がどういう方向なのか、それがはっきりするまではもう一回は研究会を開きたい。そして、こういうスキームでやりますよ、というのを出したい。いずれは「事業推進委員会」になると思う。そうなると、多少のメンバー入れ替えが必要。

(中西委員)

今日のまとめとして、町が基本設計レベルの委託料とマーケット調査費を予算化すること。で、中国電力の方向が決まってから、2月下旬から3月くらいにもう一度研究会を開く。

(光多委員長)

研究会のメンバーを残す形でオーバーラップしていって、事業推進委員会に移っていく。しかし研究会という形で事務作業するところがなくなってしまうとマズイので、6〜7月まで研究会をして、そこから少しずつ変わるのが良いのでは?

(中西委員)

あと気になるのが、15年中に事業をするんだったら、NEDOの補助申請を、例年どおりなら4月くらいにしないといけない。

(光多委員長)

NEDOの補助や起債の関係で、中国電力の結果を踏まえて2〜3月頃には、一定の方向を出さないといけない。町単独でやるんだったら、研究会のままでいいかもしれないが、民間が入ってくるとしたらいろんな形でそのやりとりもあるだろうから、推進委員会や選定員会になることもあるかもしれない。とりあえず、研究会という形で引き続き進めていきましょう。

 

次回研究会:期日未定

 

 

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