北条町地域エネルギー研究会第2回研究会概要
(ワーキンググループ調査結果報告)
(委員長)
この資料で風力発電の適地かどうかというのは、どこで判断するのか。
(林委員)
稼働率、設備利用率だが、あまり公表してくれない。設備利用率が20%を超えないともうからないと思う。「利尻カムイ北電」は30.5%でこれはかなりいい。
(委員長)
北条町はどれくらいの利用率を想定しているか
(澤メンバー)
20%強である。
(林委員)
北条町の利用率はかなりいい。これなら事業として成り立つと思う。あと、事業をやるために、どういう形態で行い、お金をどうするか。こういうことで経済的に成り立つかどうかが決まる。
(委員長)
物理工学的には他のところと遜色ないということか。
(林委員)
そうだ。
(委員長)
公共がやっているのは、私のイメージだと「域内自主利用」ということだったが、資料をみるとそうでもないようだ。意外と売電も多い。
(林委員)
域内で利用する場合は制約がある。たとえば、真ん中に道路をはさんでいると域内の施設でないとみなされる。そうすると売電しかない。
(澤メンバー)
風車がとまっているときは電気を買わなければいけないということもある。
(委員長)
自治体がやる場合はどういう場合があるか。
(澤メンバー)
ホームページでみると風力による町おこしというのがけっこうある。
(委員長)
風力でつくった電気をつかって温泉を沸かすとかという間接的なものか。それとも風力発電そのものが町おこしなのか。たとえば収入をあげることが目的とか。
(澤メンバー)
立川町がそう。観光が目的。
(林委員)
立川町はH6ぐらいで早かったので観光として使えた。
(委員長)
公共がやる理屈がわかるところはないか。
(中西委員)
資料の風力発電先進地調査結果(行政主体)の「設置目的」のところをみればだいたいわかる。
(委員長)
町が財政支出する位置づけとして、「新しい技術開発」とか「財政の建て直し」だろうか
(林委員)
「雇用創出」というのもある。
(委員長)
風力発電だけだと雇用創出にはあまりならないのではないか。
(林委員)
ベンチャーを起こそうという時代だから。
(委員長)
風力発電を見に来る人のためにレストランをつくるとか、そういうことを含めての雇用ならあるかもしれない。
(林委員)
観光はもう遅いと思う。2010年までに全国で風車を3000基つくる計画。鳥取は割合でいうと30基はつくらなければいけない。そうすると全国どこでもあるようなもので、見に来る人はいない。
(委員長)
人寄せパンダとして地域振興のためつくるという理屈は難しい。
(林委員)
環境教育、地球温暖化の防止に寄与しているとか、子供の教育のためには良い。それで少しでももうかれば。だいたいモニュメントをたてると、もうかるわけなくて、支出ばかり。モニュメント効果もある。
(委員長)
いってみれば広告塔。「環境のまち北条町」。その広告塔で、それを見れば、みんなが環境にいいことをしているんだなと思う。
(林委員)
それでもうかればいうことなしということ。
(委員長)
第一義的にはイメージアップ。環境のまち北条町という看板があれば、それとマッチングする。違うことをやろうとすると「いにしえのまち北条町」とかということだとマッチングしない。
(中西委員)
ISO14000の取得にも乗り出している。環境とはマッチングする。
(委員長)
ISOの取得の中に風力が入ってくる余地はないか。
(中西委員)
直接は関係ない。大きな基本方針には書くことができるかもしれない。
(委員長)
北条町がこれからどういくかという話を含めて考えましょうということで、その一つの鍵として環境立町ということで、他のところをみても環境立町ということでやっているところもあって、そこでマッチングすれば、公共性があるということで自治体がやる理屈がある。そういう位置づけだ。
(林委員)
地産地消ということもある。鳥取県は電力自給率11%。これをあげでいかないと。島根は原発、岡山、広島は火力。環境に悪いことをしている。鳥取県が環境立県、先進県というには、自給率11%というのはあまりにも情けなさ過ぎる。よそにおんぶにだっこでは、先進県だなんていえない。エネルギーの地産地消、これも公共性の中に入ってくる。
(委員長)
できればヒアリングで特別会計と三セクでやっている理由を聞いてほしい。岩手はエコパワーだ。間接的に風力発電関係の会社がはいっている。三セクでやっているのは、あまり思想なくやっているはず。たとえば岩手のエコパワーはエコパワーから話がもちこまれたはず。ただ、だいたいわかったので、ここまでくれば、いろいろガイドがあるから、町で判断していいということだろう。引き続き、ヒアリングとかやって、公共がやる場合の理屈づけを継続検討しよう。
【引き続き、先進事例について澤メンバーが説明】
(林委員)
NEDOの助成が公共1/2、民間は1/3。
(澤メンバー)
5000kw以上だったら、公共がやっても1/3以内となる。
(宮内委員)
三セクでやる場合は、公共が半分以上出資の場合が1/2。
(林委員)
今度の北条町の場合もNEDOの助成をねらうんだったら、51%ださなくては。
(委員長)
毎年5000kwづつ建設したらどうか。
(宮内委員)
単年度だから1/2。
(澤メンバー)
ただ、どんどん建てるところが増えているので、全額ではない。1/2かける8割とか。
(宮内委員)
今年はかける0.9だった。
【規模の選択について、資料に基づき澤メンバーが説明】
2000kwと1500kwの2つについて考えた。
2000kwは1kwあたりの金額は安くなるが、日本では実績がなく、基礎工事にどういうやり方が必要か等が不安。
風力発電施設が1基と15基ではつなげられる送電線の種類が違う。1基1500kwの場合は、高圧の配電線(6.6kv)につなげればよいのでそれほど大きな施設はいらない。15基つけると66kvの特別高圧線につなぐ必要がある。
66kvの特別高圧線は天神浄化センターが一番近い。そこまで引っ張る必要がある。特別高圧線は鉄塔をたてる場合、1kmあたり1億円の計算になるそうである。北条町の端から天神浄化センターまで6kmあるので、6億円かかる。この負担は事業者の負担となる。景観を考えると地中線がいいが、地上線よりもはるかに高い。
(委員長)
北条町の6.6kvの線につなげはいいというものではないのか。
(澤メンバー)
6.6kvで使い切れればいいが、町内では使い切れず、66kvにつないで倉吉市内で使うということを考えないといけない。
1500kwとか2000kwぐらいまでならおそらく町内でも大丈夫だと思うが、それを超えると66kvにつなぐ必要がある。66kvにつなぐとトランスとか開閉器も必要となり、それが3億円かかるとみて高圧線の6億円とあわせて9億円かかると試算している。
(委員長)
先進事例とくらべて、接続の点で不利ということはないか。
(林委員)
不利だ。久居市などはすぐ近くに自衛隊があって66kvの高圧線がきている。
(澤メンバー)
国土交通省が高速道路をつくっているので、間に合えば、それにあわせて埋設すれば安くなるかもしれない。
(委員長)
現実問題として地下は難しいようだ。やはり、接続の問題はマイナス要因のようだ。送電線の面からいくと1基か2基かまたは15基という多数かという選択肢ということのようだ。
【採算シミュレーションモデルについて加藤メンバーが資料により説明】
鳥取大学の用地調査の結果、発電量が一番得られる方角が西南西方向ということがわかった。Nedoの風力発電導入ガイドブックによると卓越風向と直角方向に風力発電機を並べる場合は、ローター直径の3倍以上に距離をとる必要があるとしている。卓越風向と平行に並べる場合はローター直径の10倍以上の距離が必要。ローター直径が70m強の風車を仮定しているので、その間隔を400mと設定して、6kmに並べることとしている。減価償却期間は20年、売電単価11円等資料に沿って説明。
【委員長、委員から前提条件の修正等指示】
○ 建物等設備取得税の関係で風車は建物扱いになるかどうか確認。
○ 事業所税はこの場合、不用。
○ 土地取得税の税率も精査すること。シミュレーションより低くなるはず。
○自治体が三セクでやった場合、どこから借り入れをしているか調べること。シミュレーション上、4%固定金利という、かなり有利な設定となっている。この条件で貸す民間金融機関はない。
○法人税を法人関係税として税率を修正すること(14.7%→約50%)
相当固めの前提条件にもかかわらず、18年目で実質的に借入金返済が終わる計画となっており、収支が良すぎる。税率が違っているのが原因。
○ 配当の10%は高すぎ。せいぜい5%、おおくても8%。
○ 役員賞与は削除すること
○ 資本金が5%というのは少ないのではないか
(委員長)
どのくらいの収益力があるか。30年償還にかかると銀行も貸さない。この資料だと20年で返済するようになっているから、一応の収益力はあるといえる。前提を修正してもらって20年で返済できるようなら銀行も貸すと思う。30年かかるようなら、このプロジェクトはやめたほうが良い。
この事業で得られる収益には町の収益、製造業者の収益、事業者の収益の3つがある。町の収益は出資金の配当、固定資産税がある。それを計算すると町はプラスになる。事業者もプラス、製造業者もプラス。三方丸くおさまっている感じだ。
【シミュレーション2について加藤メンバーが資料に基づき説明】
シミュレーション1よりも結果が良い。高さを80mとしているので稼働率を24%としている。
(委員長)
このほうが現実性があるのか。
(林委員)
設備を大きくしたいが、現実にたてるとき、2000kwが特殊だと高くなる。量産すると安くなる。建てる時期を遅くしたほうがこの場合はいい。
(澤メンバー)
2000kwは、2004年の8月に国内で予定がある。
(委員長)
15年で償還するから銀行も貸しやすい。
(林委員)
2000kwは日本にははいってこない可能性がある。メーカーのベスタスに聞いて見ないと。
(委員長)
建設における地盤は問題ないのか。
(林委員)
砂地だから、くい打ちは必要となるが、他と比べてどうかわからない。
(委員長)
この点はつめておきたい。工事費が2割あがるとか、決定的なことでないといいが。
(林委員)
北条町で地質は調べて欲しい。
(委員長)
だいたい目途が見えてきた。事業の目的もだいたいわかった。収支もよさそうである。
町が土地を買うということはできないか。
(中西委員)
町が土地を買う理屈があるかどうか。
(委員長)
自己資本のうち今の計画だと1億数千万円程度が町の負担で、これだけが町の負担。もう少し出せないか。土地を買うと、町の初期投資が2億円ちょっと。町の財政はどうか。
(中西委員)
2億円ちょっとであれば、致命的なダメージではないと思う。
(委員長)
土地を買うのは町が買ったほうがスムーズ。収支も若干良くなる。もし三セクでなくPFIでやるということになると町が土地を持っているということが前提。土地を買うことによってこれだけ公共性があるということを示すことになる。前提として町が土地を取得するということが非常に良い。望ましい。買わなくても、賃借でも良いが。このプロジェクトに公共性があるかどうか。町が自らやってもいいが、たまたま、町がやるよりも民間を入れたほうがいい場合は三セクとかPFIになる。町が土地を取得するという前提にしよう。
(穐田委員)
送電線の6億円を下げる努力をしないと。もっとコストを下げることが必要。
6億円を3億円に下げていくことを考えないと。
(若委員)
風車の間隔を400mにした根拠は。
(澤メンバー)
あまり科学的ではない。北条町の海岸が6km。実は民家があって、大栄町側に6基はいってしまっている。風向に直角に展開する場合、ローター径の3倍が基準。
風向は南からが多く、だいたい南を向いているので3倍でもいいようだが、発電できる強い風は西南西方向。するとローター径が約80mなので800mの間隔が必要となる。が、これだと風車の数が少なくなってしまう。6kmに15基並べるということて単純に400mとした。横方向の3倍はクリアしているので、だいたいいいのではないかということ。
(林委員)
6億円の送電線というのは、風車と風車をつなぐものではなくて、風車の端から高圧線につなぐまでの電線のこと。鉄塔をたてるのも問題がある。橋部分については、鉄塔ではなく、橋に添加することを考えていたのだが、それは可能か。
(澤メンバー)
それをするのだったら、北条道路の下に穴を掘って通すのが一番良い。どのみち風車間の電線は埋設。鉄塔と比較すると、埋設の方が高くつくはず。橋のたもとに変電所をつくれば鉄塔は不要だが、変電設備までの埋設が増える。
(委員長)
おっしゃる趣旨はわかるが、どうやって検討していけばよいか。
(林委員)
建設省と交渉しなければいけないかもしれないので、町がやってもらうのが一番いい。町と建設省の間で今の高速道路の下に掘れるかどうか。
(谷口委員)
大栄町に6基建てることになっているが、町内でないと難しいのでは。
(林委員)
土地だけ大栄町から借りるということはできないか。
(委員長)
いろいろ検討した結果、6億円が減るということはあっても増えることはないということでよいようだ。町がいくら入るかを収支計算すると町がもうかるようになっている。何かの形で町が少し吐き出したほうが良い。一般会計に入れるとやりくりが難しい。特別会計はつくれないか。
(中西委員)
特別会計は、特定の収入があって、特定の支出に充てるというもの。収入はあるが、特定の支出がないのではないか。
(委員長)
出資をした場合、町は自己資金で金利はつかない。
ひとつの検討として、町が、環境特別会計というような形でつくるといい。
たとえば、仙台市が地下鉄をつくるときに固定資産税の一定割合を特別会計にいれるとしていた。町も固定資産税を特別会計にいれて、それを環境関連の事業に使うということを考えてみたらどうか。
逆にこのプロジェクトで将来、何かの形で待ちが負担をしなければならないということもあるかもしれない。そういうことのためにも特別会計にプールしておくことを考えたほうが良い。
(委員長)
私の感想では、今日の調査結果報告でかなり先が見えたという気がする。○全国状況、○収支状況、○北条町としての位置づけを研究会にかけることにしたい。
資料の修正、精査、再調査等した上で、もう一回ワーキンググループの報告会を開催することに決定して終了。
次回報告会:7月17日(水)13:30〜 鳥取大学地域共同センター
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