北条町地域エネルギー研究会
第4回研究会 概要

日 時:平成15年2月28日 午前9:30〜
場 所:鳥取大学地域共同研究センター
出席者:林委員(鳥取大学工学部教授)、宮内委員(鳥取県商工労働部自然エネルギー開発推進室長)、若委員(鳥取大学教育地域科学部教授)、岩木委員(北条町民)、杉田委員(北条町民)、中西委員(北条町企画課)、澤ワーキンググループメンバー(鳥取大学・共同研究員)、加藤ワーキンググループメンバー(鳥取大学・共同研究員)、劉薇ワーキンググループメンバー(鳥取大学大学院・林研究室所属)、岩垣ワーキンググループメンバー(北条町企画課)

(林委員)(光多委員長が都合により欠席のため、林委員が委員長代理)
これまでのような検討ペースで行くとNEDOの申請に間に合わない可能性がある。今後は本格的な事業化に向けて、新しく出発していきたい。今日で研究会としての検討は最後とする。
(中西委員)
この1月から2月にかけての間に動きがあり、急遽本日の研究会開催となった。最短のス ケジュールで進み、この4月のNEDOの補助金申請に間に合わせる必要がある。

【中西委員が「北条町の風力発電計画をとりまく最近の状況」、「スケジュール案」、「まとめ(案)」について説明】
(中西委員)
NEDO申請に最低必要なものとしては、建設予定地付近の、1.生態・電波障害・騒音についての一定の報告書、2.用地取得の協議が終わっていること、3.電力協議。その他、基本設計や機種選定。電波障害については、北条町はケーブルテレビの普及率が高く、問題ないだろう。騒音についても、建設予定地は民家から離れている。生態については、渡り鳥の問題が心配。どういう渡り鳥がどういうルートを通るのか、調査する必要がある。 (若委員)
どういう調査をするのか?
(中西委員)
聞き取り等による、簡単な調査。きちっとしたものを4月までに出すのは無理。最短スケジュールを考えると、スケジュール案1となる。案2はオーソドックスなパターンで、基本設計を一年間かけてじっくりやり、申請、発注するやり方。しかし、この案だと計画が頓挫する可能性があると思う。その理由の一つとして、RPS制度による売電価格の市場変動の話。昨日広島で開催された説明会では、1kWhあたり上限11円、下限は無しということだった。あと、NEDOの環境影響調査の基準が厳しくなる。1年間かけてきちっと調査しないといけない。あと、補助金の率が下がるだろう。あと、金融環境の関係。現在は非常に低率だが、今後1、2年経つと、どう変化するか分らない。あと、計画が長引くと、いろんな横槍が入ってくる恐れがある。当面は案1を目標にやってみたい。
(林委員)
住民の反応は?
(中西委員)
これまで町報や新聞で情報提供をしてきた。しかし、採算シミュレーションなど、きちっとしたものを出したことはない。3月8日、9日に住民説明会を予定している。
(岩木委員)
これから市町村合併を控えて、町民以外の人にもなんでこんなことをするのかということを説明しないといけないのでは?
(中西委員)
合併協議会の中でもそういう話は出ている。かけこみ事業だという人もいるし、鳥取県は風がないところだと聞いているのになぜ風力発電事業をするんだという人もいる。風況データなど、きちんと情報公開をする時期にきていると思う。
(林委員)
風況は公開する時期だと思う。風速が民間企業が参入するほど高くなくても研究会で精一杯のことをやれば事業化できるということをきちんと説明しないといけない。ここで成功例を作りたい。
(若委員)
それは風評なのか、北海道などと比べて言っているのか?
(中西委員)
以前NEDOが行ったアバウトな調査を知っておられるのではないか。
(杉田委員)
実際に今のキャッシュフローで大黒字になるわけではないにしても、完璧に負債を残すものでもない。ならば、進めたほうが良いと思う。かけこみという話は私も聞いたことがあるが、この事業の話は北条町で合併の話以前から出ていて、たまたま煮詰まった時期がこの時期だったということ。だから情報公開はきちっとされるべきだ。

【澤ワーキンググループメンバーが「風向別発電量」について説明】
(澤ワーキンググループメンバー)
実線が2002年のデータ、点線が2001年のデータ。発電量はベスタス社V−80(2,000kW機)の出力曲線を基に計算している。1基あたりの発電量は、2001年が3,542MWh、2002年が3,743.6MWh。平均風速は2001年5.67m/s、2002年5.87m/sで、この差が発電量の差として表れている。設備利用率は2002年21.7%、2001年が20%ちょっと。
(林委員)
風が弱くてもやり方をきちっとすれば利用率を上げることができる。風車もどんどん新しくなり、羽を大きくすれば設備利用率が上がる。V−80は羽の直径が80mあり、そういうものも含めて機種を検討している。
(中西委員)
NEDO補助金の申請前、4月早々にも機種を決めてしまわないといけない。申請後に変更した例もあるようだが、中々難しいようだ。
(宮内委員)
スケジュールを見ると、15年中に着工するということで、基本設計前にNEDO申請をしてしまうということか。
(中西委員)
基本設計と言っても、申請のために本当に概略だけ作る。
(林委員)
説得力をつけるために、この研究会の報告書も申請と併せて出そうと思う。これを3月中にまとめる。この中にぜひV−80の検討を組み込みたいと思う。
(杉田委員)
起債を北条町がするということだが、町民に負担があるようでは困る。シミュレーションでは、収入は押さえ気味、経費は最大にしてあるようだ。ならば、建設でどれだけコストが押さえられるか、かつ用地購入費がどれだけダウンできるのか。それらを実際の交渉で努力していかないといけない。建設費の27億4千万円は上がることはないか?
(林委員)
以前検討した県の立地促進補助金は期待しないほうが良いと思うが、これより建設費が上がることはない。あとは15年で黒字に転ずるか、12年で転ずるか、そこが問題。

【中西委員が「シミュレーション1」、「シミュレーション2」、「シミュレーションの前提条件」について説明】
(中西委員)
これまで鳥大が行ってきたシミュレーションを若干精査した形になっている。1,2で違うのは、設備利用率と稼働率。これまで検討に使ってきた利用率22%というのは、多分最大値だと思う。北条町の風況をリパワー社1,500kW機の出力曲線と照らすと、確かに22%。だが、実際にその機種を導入するか分からないし、メンテナンスや故障などで一週間くらい止まるとすると稼働率は95%。建設費については、1,500kw機9基では若干少な目ではないかと考えている。用地購入費は、羽のかかる部分は全部購入という前提。火災保険料については町村有建物災害共済の利用を考えており、年間50万の掛け金で現状復旧経費について保証されるが、修理の間、風車は停止する。
(林委員)
設備利用率を上げるためには2,000kW機を採用する方がプラス面が大きいのではないか。
(加藤ワーキンググループメンバー)
以前のシミュレーションでは、2,000kW機の建設コストを高めに、1,500kW機の建設コストは低めに考えていたようだ。
(林委員)
2,000kW機を、間隔を離して建てたほうが良いかもしれない。羽の直径の5倍離せば上方向から風が補給されるので、400m間隔で2,000kW機9基というのも考えられる。
(中西委員)
NEDOの申請を考え、機種選定を早めに行う必要がある。今までの検討から、1500kW機で行くのが効率的ではないか。2,000kW機を考えるなら、シミュレーションをしてみないといけない。
(林委員)
研究会報告書には入れたい。
(中西委員)
シミュレーション2は、年間でなんらかの形で停止したとして稼働率が90%。収支はとんとん。600万円では厳しい。設備利用率、建設費の関係の検討が今後重要。機種選定でメーカーに提案させて進めて行くなりしなければならない。
(杉田委員)
「儲かる」というのはうさんくさい。2,000kW機で建設費がどれくらいになり、設備利用率がどれくらいになるのか、シミュレーションを出したほうが、説得力があるんじゃないか。
(中西委員)
「まとめ」について意見を伺いたい。中国電力は、売電単価最低11円/kWhということなので、事業可能だと判断する。
(林委員)
2000kW機に決められないのは、採算もだが、道が通れないということ。そういうことをこれから検討しないといけない。1,650kW機ということも考えられる。基数については、400m間隔で9基ということで良いんじゃないか。
(中西委員)
NEDO申請には9基ということで行きたいと思う。
(宮内委員)
NEDOの今後の補助率について、何か情報があるのか。
(中西委員)
15年度は14年度と余り変わらないが、16年度以降、kWあたりの建設費の上限が入ってくるようなことを聞いている。町が直営で運営すると、おざなりになってしまうと思う。後の地域振興を考えても、「新しい3セク」に運営させたい。「新しい」の意味は、北条町にふさわしいものとして、これからつけ加えていく。
(林委員)
要は、民間の活力をどう活用するかということだと思う。
(中西委員)
「まとめ」の中の「事業実施への課題」で、町の方針、町の体制について提言を頂きたい。今後決定することについては、一歩踏み出して、事業推進委員会というようなもので進めたら、と考えている。
(林委員)
この研究会の結論として、来年度からは事業推進委員会で進めるということで決定しておきましょう。この事業推進委員会の委員長は、新しい3セクについて考えるということで光多教授、副委員長は私、調査事務については鳥大で、ということで併せて決定しておきましょう。
(中西委員)
基本設計等は業者が行うが、最終決定は、この会で有識者等によってということにしたい。
(宮内委員)
シミュレーションの案2がダメな理由は?
(中西委員)
RPS制度についての説明会が昨日広島であり、売電単価の上限が11円ということだった。中国電力は11円から11円50銭で長期契約を、ということだった。RPS制度がはじまると、来年以降の売電単価は上限の11円以下ということになると思う。それと、NEDOの環境調査が厳しくなるんじゃないかという話がある。それらを考慮して、案1で行こうと思うが、今回NEDOの採択がなければ、自動的に案2に移行する。
(林委員)
案1で行くということと、事業推進委員会を設けること、町の体制を確立するということを研究会の最終結論としましょう。

【中西委員が「地域エネルギー研究会報告書目次」について説明】
(中西委員)
研究会の報告書は、基本的にはこれまでの研究会の内容や資料を基に作成する。
(林委員)
設備利用率や、環境先進県についての内容を書くところを設けましょう。
(宮内委員)
シミュレーションには、立地促進補助金の話は含まれてない?
(中西委員)
雇用についての話は含まれてない。それ以外のものが使えればよいが。
(杉田委員)
用地取得で、NEDO申請に必要だということだが。
(中西委員)
用地に関して、反対はないということで何とかなると思う。本当は契約まで済んでいることが必要。買い方は交渉。
(岩木委員)
シミュレーション案2の、単年度収支が赤字というのは、説得力がないんじゃないか。何とか黒になるようにしないと。
(中西委員)
借入資金の返済方法により、こういう形になっているだけ。多少税金が投入されたとしても、資産としてみれば、良いものなんじゃないかと思う。

次回事業推進委員会(仮称)開催日:未定



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