○北栄町職員のメンタルヘルスのための支援プログラム実施要領

平成18年4月1日

訓令第20号

1 目的

この要領は、北栄町職員(以下「職員」という。)がストレス等に起因したメンタルヘルス不全の状態(以下「不適応状態」という。)に陥ることを予防し、また陥った場合には早期回復と再発防止を図ることを目的として、北栄町衛生委員会が行う「北栄町職員のメンタルヘルスのための支援プログラム」(以下「プログラム」という。)について、必要な事項を定める。

2 プログラムの内容

このプログラムは、不適応状態の予防のための支援及び不適応状態に陥った職員の療養の段階に応じて必要な支援を行うものであり、その内容は次のとおりとする。

(1) ストレスに気づき・対処と心の健康障害予防のための支援

職員が自らのストレスに気づき・対処ができるよう、また所属の長等管理監督の立場にある者が、職員の「事例性」に気づき適切な対応ができるよう次の支援を行う。

ア) セルフケア

① 職員に対してセルフケアに関する研修、情報提供を行う。

② 職員が自ら相談を受けられるよう必要な環境整備を行う。

イ) ラインによるケア

① 管理監督者は、作業環境、作業方法、労働時間等の職場環境等の具体的な問題点を把握し、改善を図る。

② 管理監督者は、個々の職員に過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷・責任等が生じないようにする等の配慮を行う。

③ 管理監督者は、日常的に、職員からの自主的な相談に対応するよう努める。

④ 管理監督者に対して心の健康に関する教育研修を行う。

ウ) 保健スタッフ等によるケア

① 保健スタッフ等とは、衛生委員会及び総括安全衛生管理者、衛生管理者、保健師、産業医、人事労務担当者等衛生管理を担う者をいう。

② 保健スタッフ等は、職場環境等について評価し、管理監督者と協力してその改善を図るように努める。

③ 保健スタッフ等は、職員のストレスや心の健康問題を把握し、保健指導、健康相談等を行う。

④ 保健スタッフに対して、教育研修、知識習得等の機会を提供する。

エ) 事業場外資源によるケア

必要に応じ、それぞれの役割に応じた事業場外資源を活用する。

(2) 療養に対する支援

所属において職員が不適切状態に陥った場合には、次のとおり療養支援を行う。

ア) 職員からの診断書の提出

病気休暇の申請をするときは、職員は主治医の診断書を添付して管理監督者に提出する。休職の場合は、主治医と産業医の診断書(別記様式「職場復帰支援プランに基づく診断書」)を添付し、休職願(北栄町職員の心身の故障による休職の取扱規程(平成17年北栄町訓令第19号)様式第1号を提出する。

イ) 管理監督者、保健スタッフ等によるケア

① 管理監督者は、病気休業診断書が提出されたことを、保健スタッフ等に連絡する。休業を開始する職員に対しては、療養に専念するよう安心させると同時に、休業中の事務手続きや職場復帰支援の手順についての説明をする。

② 管理監督者及び保健スタッフ等は、必要な連絡事項及び職場復帰支援のためにあらかじめ検討が必要な事項については職員に連絡を取る。場合によっては職員の同意を得た上で、主治医と連絡を取る。

(3) 職場復帰支援

病気療養のために休職していた職員が職場復帰をするにあたっては、次のとおり職場復帰支援を行う。

ア) 主治医による職場復帰可能の判断

休業中の職員が職場復帰する場合、主治医からの別記様式による診断書(職場復帰支援プランに基づく診断書)を提出する。診断書には職場復帰可能の判断のほか就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見も記されていることが望ましい。

イ) 情報の収集と評価

職場復帰の可否については、職員及び関係者から必要な情報を適切に収集し、さまざまな観点から評価を行いながら総合的に判断する。なお情報の収集については、職員のプライバシーに十分配慮する。

① 職員の職場復帰に対する意思の確認

② 産業医等による主治医からの意見収集

診断書に記載されている内容だけでは十分な職場復帰支援を行うのが困難な場合、産業医等は、職員の同意を得た上で、必要な内容に付いて主治医からの情報や意見を積極的に収集する。この際には、職員のプライバシーに十分配慮しながら情報交換を行う。

③ 職員の状態等の評価

a 治療状況及び病状の回復状況の確認

(a) 今後の通院治療の必要性、治療状況についての概要確認

(b) 業務遂行に影響を及ぼす症状や薬の副作用の有無

(c) 休業中の生活状況

(d) その他職場復帰に関して考慮すべき問題点など

b 業務遂行能力についての評価

(a) 適切な睡眠覚醒リズムの有無

(b) 昼間の眠気の有無

(c) 注意力・集中力の程度

(d) 安全な通勤の可否

(e) 業務遂行に必要な作業の実施状況と、作業による疲労の回復具合

c 今後の就業に関する職員の考え

(a) 希望する復職先

(b) 希望する業務上の配慮の内容や期間

(c) その他、職場の問題点の改善や勤務体制の変更、健康管理上の支援方法など

d 家族からの情報

必要に応じて家庭での状況(症状の改善の程度、食事・睡眠・飲酒等の生活習慣など)について情報を収集する。

④ 職場環境の評価

a 業務及び職場との適合性

(a) 業務と職員の能力及び意欲・関心との適合性

(b) 職場の人間関係など

b 作業管理、作業環境管理に関する評価

(a) 作業量や質等の作業管理状況

(b) 作業環境の維持・管理の状況

(c) 時期的な変動や不測の事態に対する対応の状況

c 職場側による支援準備状況

(a) 復職を支える職場の雰囲気やメンタルヘルスに関する理解の程度

(b) 実施可能な業務上の配慮(業務内容や業務量の変更、就業制限等)

(c) 実施可能な人事労務管理上の配慮(配置転換・異動。勤務制度の変更等)

⑤ その他

その他、職場復帰支援にあたって必要と思われる事項について検討する。また、治療に関する問題点や、本人の行動特性、家族の支援状況など職場復帰の阻害要因となりうる問題点についても整理し、その支援策について検討する。

ウ) 職場復帰の可否についての判断

イ)の「情報の収集と評価」の結果をもとに、当該労働者の職場復帰が可能と考えられるか否かについて判断を行う。この判断は、職場復帰判定委員会により行われるが、職場環境等に関する事項については、管理監督者等の意見を十分に考慮しながら総合的に行わなければならない。

エ) 職場復帰支援プランの作成

職場復帰が可能とされた場合には、職場復帰を支援するための具体的なプランを職場復帰支援プランとして作成する。通常、元の就業状態に戻すまでにはいくつかの段階を設定しながら経過をみる。プラン作成にあたってはそれぞれの段階に応じた内容及び期間の設定を行う必要がある。職員には、きちんとした計画に基づき着実に職場復帰を進めることが長期的、安定的な職場復帰等につながることを十分に理解させ、本人の希望のみによって職場復帰支援プランが決定されることがないよう気をつける必要がある。

① 職場復帰日

復帰のタイミングについては、職員の状態や職場の準備状況の両方を考慮した上で総合的に判断する必要がある。

② 管理監督者による業務上の配慮

a 業務サポートの内容や方法

b 業務内容や業務量の変更

c 就業制限(残業等の制限又は禁止、就業時間短縮など)

d 治療上必要なその他の配慮(診療のための外出許可)など

③ 人事労務管理上の対応

a 配置転換や異動の必要性

b フレックスタイム制度や裁量労働制度等の勤務制度変更の必要性

④ 産業医等による医学的見地からみた意見

a 健康面に関する助言

b その他、職場復帰支援に関する医学的見地からみた意見

⑤ フォローアップ

a 管理監督者によるフォローアップの方法

b 保健スタッフ等によるフォローアップの方法(職場復帰後のフォローアップ面談の実施方法等)

c 就業制限等の見直しを行うタイミング

d 全ての就業上の配慮や医学的観察が不要となる時期についての見直し

オ) 職場復帰の決定

職場復帰の可否についての判断及び職場復帰支援プランの作成を経て、最終的な職場復帰の決定を行う。

① 職場の状態の最終確認

症状の再燃・再発の有無、回復過程における症状の動揺の様子等について最終的な確認を行う。

② 就業上の措置等に関する意見書の作成

産業医等は、就業に関する措置等の最終的なとりまとめを行い、職場復帰に関する意見書を作成する。

③ 最終的な職場復帰の決定

上記の職場復帰に関する意見書で示された内容について管理監督者、人事労務管理スタッフの確認を経た上で、町長は最終的な職場復帰の決定を行い、職員に対して通知するとともに、就業上の措置の内容についても併せて通知する。管理監督者、保健スタッフ等は、職場復帰に関する意見書の内容を確認しながらそれぞれが責任をもって遂行するよう努めなければならない。

カ) 職場復帰後のフォローアップ

職場復帰後は、管理監督上による観察の支援のほか、保健スタッフ等による定期的又は就業上の措置の更新時期等に合わせたフォローアップのための面談を実施する。

① 症状の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認

症状の再燃・再発についての早期の気づきと迅速な対応ができるよう、保健スタッフ等は管理監督者と連携しながら職員の状態の変化について適切なタイミングで対応できるよう連携を図っておく。

② 勤務状況及び業務遂行能力の評価

職場復帰の様子を評価する際は、職員の意見だけでなく管理監督者からの意見も合わせて客観的な評価を行う。

③ 職場復帰支援プランの実施状況の確認

職場復帰支援プランが計画どおりに実施されているかについての確認を行う。予定どおり実施されていない場合には、関係者間で再調整を図る。

④ 治療状況の確認

通院状況や治療の自己中断等のチェック、現在の病状や今後の見通しについての主治医の意見を職員から聞き、必要に応じて職員の同意を得た上で主治医との情報交換を行う。

⑤ 職場復帰支援プランの評価と見直し

様々な視点から現行の職場復帰支援プランについての評価を行う。何らかの問題が生じた場合には、関係者間で連携しながら臨機応変にプランの変更を行う。

3 プログラムを効果的に実施するための留意点

(1) プログラムの周知

支援プログラムが職員及び管理監督者、保健スタッフ等に十分周知されるよう必要な教育を実施する必要がある。

(2) 管理監督者、保健スタッフ等の役割

a 管理監督者

管理監督者は、保健スタッフ等と協力しながら職場における作業環境及び作業環境管理上の問題点を把握し、それらの改善を図ることで職場復帰支援における業務上の配慮を履行する。また、復帰後の職員の状態についても保健スタッフ等と協力しながら注意深い観察を行っていく。人事労務管理上の問題については人事労務管理スタッフと連携して適切な対応を図っていく。

b 保健スタッフ等

(a) 人事労務管理スタッフ

人事労務管理スタッフは、人事労務管理上の問題点を把握し、職場復帰支援に必要な労働条件の改善や、配置転換、異動等についての配慮を行う。職場復帰支援においては、産業医等他の保健スタッフ等と連携しながらその手続が円滑に進むよう調整を行う。

(b) 産業医

産業医は職場復帰支援における全ての過程で、管理監督者及び人事労務担当者の機能を専門的な立場から支援し、必要な助言及び指導を行う。特に、職員の診療を担当している主治医との情報交換や医療的な判断においては、専門的立場から中心的な役割を担う。職員や主治医から知り得た情報についてはプライバシーに配慮しながら、関係者間で取り扱うべき情報について調整を行う。

(c) 衛生管理者等

衛生管理者等は、産業医等の助言、指導等を踏まえて、職場復帰支援が円滑に行われるよう職員に対するケア及び管理監督者のサポートを行う。また、必要に応じて人事労務管理スタッフや事業場外資源との連絡調整にあたる。

(d) 保健師

保健師は、産業医等及び衛生管理者等と協力しながら職員に対するケア及び管理監督者に対する支援を行う。

(3) プライバシーの留意

職場復帰支援において扱われる労働者の健康情報等のほとんどが、職員のプライバシーに関わるものである。職員の健康情報等は個人情報の中でも特に機微な情報であり、厳格に保護されるべきものである。とりわけメンタルヘルスに関する健康情報等は慎重な取り扱いが必要である。また、周囲の「気づき情報」は、当該提供者にとっても個人情報であり慎重な取り扱いが必要になる。

(4) 主治医との連携

主治医との連携に当たっては、事前に当該職員への説明と同意を得ておく必要がある。また、主治医に対して保健スタッフ等や管理監督者それぞれの立場や役割、病気休業や職場復帰に関する規則、プライバシーに関する事項等について十分な説明を行うことも必要である。その際、職員本人の職場復帰を支援する立場を中心としながら必要な情報交換が行われるよう努めなければならない。

この要領は、平成18年4月1日から施行する。

(平成23年3月28日訓令第7号)

この訓令は、平成23年4月1日から施行する。

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北栄町職員のメンタルヘルスのための支援プログラム実施要領

平成18年4月1日 訓令第20号

(平成23年4月1日施行)

体系情報
第4編 事/第5章 職員厚生
沿革情報
平成18年4月1日 訓令第20号
平成23年3月28日 訓令第7号