○北栄町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成30年3月19日

条例第3号

北栄町は、鳥取県の中央に位置し、北には日本海に面した白砂青松の景色が広がる北条砂丘、南には肥沃な黒ぼく土の丘陵地帯が広がり、豊かな自然を活かして、農業を中心として先人たちが巧みに産業を育んできました。平成の合併により、旧大栄町と旧北条町の人、もの、情報、歴史、文化を調和させながら、まちづくりに取り組んできたところですが、平成28年10月21日に発生した鳥取県中部地震では、住民、行政だけでなく、地元企業の人員・技術・機械・資材の供給等の献身的な協力により、厳しい局面を乗り越えました。災害に強いまちづくりをすすめ、優れた技術、技能、文化を次世代に引き継ぐためには、地域活性化の下支えをしている本町の事業所の大多数を占める中小企業・小規模企業を地域全体で発展させていくことが改めて重要となっています。一方、社会情勢の急激な変化により、少子高齢化、若者の定着率と人口の減少、地域経済の縮小という地域の課題を抱える中で、中小企業振興に係る法律の改正及び地方創生を推進する立場から、中小企業・小規模企業の活力を支援する取り組みを、事業者、町民、町、支援団体、金融機関及び教育機関がそれぞれの役割を明確にしながら、協働し、推進していかなければなりません。このため、本町では中小企業・小規模企業の支援の方針、役割等を明確にすることを目的に、中小企業が雇用、地域を守る人材の確保、事業活動を通じて地域の歴史、伝統文化及び文化を育む地域社会の担い手として貢献していることを全体で理解しながら、互いに支え合い、安心して豊かに暮らせるまちとして発展するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業・小規模企業が北栄町における経済の発展に果たす役割の重要性に鑑み、その振興に関し、基本理念を定め、町の責務、事業者及び商工会の役割等を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、中小企業・小規模企業の成長発展及びその事業の持続的発展並びに地域経済の活性化を図り、もって町民の生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業とは、中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に規定する事業者であって、北栄町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業とは、中小企業基本法第2条第5項に規定する事業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 大企業とは、中小企業及び小規模企業(以下「中小企業・小規模企業」という。)以外の事業者で、町内に事業所を有するものをいう。

(4) 商工会とは、商工会法(昭和35年法律第89号)の規定に基づく商工会であって、町内に事務所を有する「北栄町商工会」をいう。

(5) 支援団体とは、商工会、中小企業団体中央会その他中小企業・小規模企業の支援を行う団体で、町内において活動する団体をいう。

(6) 金融機関とは、銀行、信用金庫、その他金融業を行うもの及び信用保証協会で町内に所在するもの又は町内で事業活動を行うものをいう。

(7) 教育機関とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校その他職業に必要な能力を養成することを目的とする機関で町内に所在する機関又は町内で研究等を行う機関とする。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業が地域の経済、雇用、歴史、文化及び災害時の対応を含めた安心して暮らせる社会を支える担い手として重要な役割を果たしているという基本的認識の下、中小企業・小規模企業の自らの創意工夫及び自主的な努力を尊重しつつ、国、県その他関係機関との連携を図り、中小企業・小規模企業の成長発展及びその持続的発展が図られることを旨として推進することを基本とする。

(基本計画の策定)

第4条 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、中小企業・小規模企業振興基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 町は、基本計画を定めるにあたり、あらかじめ、中小企業・小規模企業の意見及び商工会の経営発達支援計画を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

3 町は、中小企業・小規模企業をめぐる情勢の変化を勘案し、及び中小企業・小規模企業の振興に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、3年ごとに基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。

4 第2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(基本的施策)

第5条 第1条の目的を達成するため、第3条の基本理念に基づく基本的施策は、次のとおりとする。

(1) 中小企業・小規模企業の経営の安定及び革新に関する施策

(2) 中小企業・小規模企業の経営基盤の整備に関する施策

(3) 中小企業・小規模企業の受注機会の拡大・市場開拓に関する施策

(4) 中小企業・小規模企業の人材育成・確保及び雇用の促進・安定に関する施策

(5) 中小企業・小規模企業の働きやすい職場づくりに関する施策

(6) 中小企業・小規模企業の事業承継の促進に関する施策

(7) 新事業の創出及び起業支援に関する施策

(8) 中小企業・小規模企業の資金調達の円滑化に関する施策

(9) 中小企業・小規模企業に対する支援・連携ネットワークの構築

(10) 中小企業・小規模企業に関する情報の収集及び提供

(11) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める施策

(町の責務)

第6条 町は、第3条に定める基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。

2 町は、中小企業・小規模企業が豊かな地域社会づくりへの貢献や地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与していることについて、住民への理解を深めるよう努めなければならない。

3 町は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、公正な競争性を確保しつつ、予算の適切な執行に留意しながら、中小企業・小規模企業をはじめとする町内事業者の受注機会の増大に努めなければならない。

4 町は、施策の推進にあたり、経営資源の確保が困難であることが多い小規模企業の事情に配慮するよう努めるものとする。

(中小企業・小規模企業の役割)

第7条 中小企業・小規模企業は、経済的社会的環境変化に応じて、自らの経営基盤の強化、経営革新等に努めるものとする。

2 中小企業・小規模企業は、商工会をはじめとする支援団体への加入に努めるものとする。

3 中小企業・小規模企業は、地域社会を構成する一員として、地域社会との調和を図り、安心して暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

4 中小企業・小規模企業は、環境に配慮した事業活動を行うとともに、災害発生時には町及び町民と互いに協力することとし、安心して暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

5 中小企業・小規模企業は、子育て及び介護支援等に配慮したワークライフバランスに関する取組みを行い、男女並びに障がい者を含めたすべての人がお互いを尊重し、共に働きやすい職場の環境づくりと雇用の促進に努めるものとする。

6 中小企業・小規模企業は、従業員の心身の健康が、生産性・創造性・継続性及び企業イメージの向上に重要な役割を担っていることを認識し、企業を支える従業員の健康づくりが効率的に実践される健康経営に努めるものとする。

(商工会の役割)

第8条 商工会は、中小企業・小規模企業の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、町が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施について協力するよう努めるものとする。

2 商工会は、国、県、町その他関係機関と連携し、中小企業・小規模企業に対するきめ細かな支援を行うよう努めるものとする。

(支援団体の役割)

第9条 支援団体は、中小企業・小規模企業の実態を把握し、専門性を活かし、情報提供や提案を行いながら、事業者の生産性の向上、技術力の確保、取引の拡大に向けた支援、人材育成及び確保に向けた取り組み等を行い、中小企業・小規模企業の振興に努めるものとする。

(金融機関の役割)

第10条 金融機関は、中小企業・小規模企業に適した資金供給、経営相談、有用な情報の提供等の支援を行うことにより、中小企業の発展に協力するよう努めるものとする。

(教育機関の役割)

第11条 教育機関は、職場体験、職業に関する理解を深める学習等を通して、健全な職業観及び勤労観の醸成に努めるものとする。

2 教育機関は、町が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業及び大規模小売店舗設置者等の役割)

第12条 大企業及び大規模小売店舗設置者等は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、次に掲げる事項に努めるものとする。

(1) 地域社会を構成する一員としての社会的責任及び影響を自覚することはもとより、中小企業・小規模企業が自らの事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを認識し、中小企業・小規模企業との連携及び協力に努めるものとする。

(2) 中小企業・小規模企業の振興が地域経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、町が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(3) 町内において生産、製造又は加工された産品を積極的に取り扱い、及び町内で提供されるサービス等の積極的な利用に努めるものとする。

(4) 商工会をはじめとする支援団体に加入するとともに、地域との共存共栄を図り、地域に貢献する活動を行うよう努めるものとする。

(商工業者と観光関係者、農業者等との連携)

第13条 町は、商工業の経営の向上を図るため、観光関係者並びに農業者等との有機的な連携を促進するものとする。

(町民の理解と協力)

第14条 町民は、中小企業・小規模企業の振興が地域経済の基盤形成、雇用環境の整備、歴史、文化及び災害時の協力等の町民の生活の向上において重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業・小規模企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

2 町民は、町内において生産され、製造され、又は加工される産品及び提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

(施策の実施状況の検証・公表)

第15条 町は、毎年度、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施状況の検証、評価を行い、公表するものとする。

2 町は、前項の検証にあたっては、中小企業・小規模企業、商工会その他関係機関の意見を聴くものとする。

(財政上の措置)

第16条 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するため、必要な財政措置を講ずるものとする。

(委任)

第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

北栄町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成30年3月19日 条例第3号

(平成30年4月1日施行)