北条町地域エネルギー研究会第2回研究会概要
(ワーキンググループ調査結果報告)

日 時:平成14年9月3日 9:30〜
場 所:鳥取大学地域共同センター会議室
出席者:光多委員長(鳥取大学教育地域科学部教授)、林委員(鳥取大学工学部教授)、
  宮内委員(鳥取県商工労働部自然エネルギー開発推進室長)、穐田委員(鳥取県商工会連合会事務局長)、若委員(鳥取大学教育地域科学部教授)、小池委員(鳥取大学工学部助教授)、大阪委員(山口大学工学部教授)、鈴木委員((財)科学技術交流財団参事)、坂梨委員(電源開発叶V事業戦略室長)、山根委員(北条町商工会経営指導員)、岩木委員(北条町民)、杉田委員(北条町民)、中西委員(北条町企画課)、澤ワーキンググループメンバー(鳥取大学・共同研究員)、加藤ワーキンググループメンバー(鳥取大学・共同研究員)、劉薇ワーキンググループメンバー(鳥取大学大学院・林研究室所属)、岩垣ワーキンググループメンバー(北条町企画課)、松本昭夫北条町長

(町長)
この2回目の研究会に至るまでワーキンググループの皆さんに大変お世話になり、色々な研究、又、シミュレーションをしていただいた。ある程度の体制はできたかなと思うが、問題点も出てきている。それらを克服してぜひとも北条町に地域エネルギーの事業を興していきたいと考えている。皆さんご存知だと思いますが、北条町は合併協議会設立に向け準備を進めている。これまで1市3町ということで進めてきたが、新たに大栄町も9月8日に合併協議会準備会に加わることになった。現在、風車は9基ということで話を進めているが、大栄町も加われば当初想定していた通り15基ということが実現するかもしれない。地域エネルギーに関しては、協議会でも北条町の第一の取り組み課題としてやっていきたいと思うので、今後もよろしくお願いします。
(光多委員長)
これまでワーキンググループを中心に色々な研究を進めてきた内容を踏まえ、最終的に今回のシミュレーション結果を議論して頂きたい。
(加藤ワーキンググループメンバー)
まず、風車をどのように建てるかということから説明します。

【澤ワーキンググループメンバーが、風車配置・送電線配線図について説明】
マーカーで記した部分が送電線ルートを考えている所です。本当は天神川下水道処理場に持っていくのが近いのは近いが、国道9号線を通すときに国土交通省と協議をしなければならない。国土交通省と協議するよりも、県道もしくは町道を通る方が、話しが早いのではないか、ということで、県道及び町道を通るルートを検討に挙げた。このルートで、北条オートキャンプ場あたりに変電設備を置いて、羽合町の変電所まで7kmの送電線ルートとなる。羽合町の天神橋(県道)を通るので、県との交渉になると思う。
(林委員)
北条オートキャンプ場は、図の左端から入って、右側の田後まで持って行く。今回検討したのは、マーカーで記した町道及び県道、天神橋を通るものだが、他に国道を通る案がある。これは、費用が非常に高い。鳥取大学風況精査地点から地に沿って電柱があるが、今、中国電力との協議をやっている。
(澤ワーキンググループメンバー)
中国電力倉吉営業所との協議をやっているが、まだはっきりとした回答がなく、今回は検討から外した。
(林委員)
今ある電柱を使ってゆけば、非常に安くなる。西新田場を通り、国道の新天神橋の下を通すということを1つの方法と考えている。それは新天神橋のたもとまで電柱で22,000Vの送電線で来て、そこから66,000Vに昇圧して新天神橋を通して下水道処理場の変電所に出る。国土交通省、中国電力との交渉がうまく行けば、これでいける。しかし、一般的には、電柱を使わせてくれるのかという話もあるし、新天神橋の交渉は、時間がかかる。このマーカーのルートの場合でも、国道下を横断しなければいけない。これも交渉が必要。
(澤ワーキンググループメンバー)
交渉はしないといけないが、推進工法とかを使えば国道下をくぐるので、道路をひっぺがえさなくて良い。町道なら50cm幅を掘って、そこだけ直せば良い。国道ならば掘った所以外にも、継ぎ目がないように全部舗装し直さないといけない。ということで、町道、県道を通すという形にしてある。
(光多委員長)
埋設線ではなく、電線ではダメか。
(澤ワーキンググループメンバー)
架空線ですか。ダメではないが、66kV(66,000V)に昇圧するという考え方にしており、そうすると鉄塔を建てなければいけない。鉄塔を建てるとなると、土地を買収して、というようにかなり大掛かりになる。現実的でないのではないか。
(光多委員長)
地中をくぐらすということは、制度上は問題ないと。あとはコストの問題か。
(澤ワーキンググループメンバー)
今のところ、km当たり7千万円で、資料にもあるが、送電線・配電線合わせて5億7千万円かかる。
(光多委員長)
坂梨さん、立地条件としてはいかがなものですか。
(坂梨委員)
送電線を埋設でという話はあまり聞かない。以前の資料で2億円とかいうのがあってびっくりしていたが、単価7千万円ということであれば、それほどでもない。しかし、基本的には、簡単に電線が引ける条件のところを選ぶ。
(澤ワーキンググループメンバー)
22,000Vの話を中国電力に聞いているが、まだちゃんと回答がない。
(林委員)
回答がないだけで、可能性がないことはない。
(澤ワーキンググループメンバー)
これは、西新田場という集落まで6,600Vの配電線が通っているので、その電柱に22000Vの送電線を共架させてもらえないかということを聞いているということである。 (林委員)
風況精査地点と書いてある発電所から西新田場までは、こちらで電柱を建てる必要があるが、西新田場の電柱に乗せてもらえば、そんなに高くない。交渉で乗せてもらえるかどうか。
(澤ワーキンググループメンバー)
坂梨さん、そういう例はあるんですか。
(坂梨委員)
スタディーケースということでは真剣に答えは返ってこないのではないか。本当のプロジェクトの話にならないと。
(杉田委員)
中国電力にデメリットはあるのか。
(坂梨委員)
技術的なことになるが、電柱が重さに耐えられるのかどうか。
(林委員)
今電柱に架かっているのが6,600Vの送電線だが、それが22,000Vという太い線になることで電柱が重さに耐えられるのかどうか。それが可能なら、新天神橋のたもとまで今ある電柱の上を通すだけなので、経費が随分安くなる。
(坂梨委員)
もし電柱が倒れると、風力発電側の収入も途絶えてしまう。そうなると電力会社側が自分の損害は自分で処理するにしても、その他の責任がどうなるか。電力会社側がいろいろ考えることになる。
(林委員)
9基で計算すると、経費が6億(送電線・配電線経費)というのは、ちょっと苦しい。最終的に大栄町にも6基建てて15基でやるんだということで、最初の設備として6億近いものを投資するんだということだとそれ程でもない。幸い合併するというのだから、1つの会社でやれるようになってくると思うが、最初厳しいことを乗り切ってゆけば、後が楽だ。
以前も検討したが、1〜2基を今ある6,600Vにつなぐことも可能。しかしそこから基数を増やそうとすると又同じ投資が必要となる。

【加藤ワーキンググループメンバーが、「業者の見積り」について説明】
(加藤ワーキンググループメンバー)<BR> 基礎費は、A社が1,500kW×4基で約2億円。1基当たり5千万円程度ですむ。B社は、1,500kWが1基3千8百万円、2,000kWが1基4千2百万円。前回までのシミュレーションでは1基1億円程度で考えていたが、かなり大きく見積もっていたということが分かった。

【加藤ワーキンググループメンバーが、シミュレーションの全体について説明】
(加藤ワーキンググループメンバー)
9基というのは、町内に一列に並べるというのが前提。但し、完成後にあと6基するという送電線の都合は付くようには考えてある。
(光多委員長)
シミュレーション3として、1500kW×1基というのは何か。
(加藤ワーキンググループメンバー)
前回のワーキンググループ報告会で6,600Vに直接つないでしまおうということがあったが、その限界が1500kW×1基。3基はつなげられるだろうということでシミュレーション予定だったが、中国電力との協議で1500kW×1基が限界だということだった。 (光多委員長)
これは現実的ではないですね。
(加藤ワーキンググループメンバー)
現実的ではないと思います。
(林委員)
風力発電事業所を建てるということでは現実的でないが、1基建ててまず様子を見るということでは意味がある。送電線が要らないということで。
(澤ワーキンググループメンバー)
西新田場まで6,600Vという系統の送電線が羽合の変電所から行っていて、これにつなげて1基。逆の西側に、大栄町からの送電線もずっと延びていて、それにつなげることができてもう1基建てられるかどうか。
(坂梨委員)
1基建てることの持つ意味はこうだと思う。中国電力との契約が売電単価11.5円で17年間間違いないということ。これが9〜10基になると入札の世界になってしまう。そうなると、11円で買ってもらえるかどうか。2,000kWまでであれば、11.5円位で17年間買いますということを中国電力は宣言している。
(光多委員長)
ではそんなに意味の無い話というわけではなく、ダークホースかも知れないですね。
(澤ワーキンググループメンバー)
ただ、そこから増やす場合には、又契約が必要となる。
(林委員)
6,600Vにつなげると、今度新しく作った場合につなげることができない。
(澤ワーキンググループメンバー)
17年契約ということになるので、1基にしてしまうとその間ずっと6,600Vにつなぎ続けてくださいということになる。で、もし何か事故があればやっぱり66,000Vにつなげて下さいなんていう話になるかもしれない。
(光多委員長)
入札申込が9月というのは?
(中西委員)
正式な申込ではないが、入札のための事前申込が9月(実際には12月)。
(光多委員長)
その申込では何基でやるかというようなことを出さないといけないか。
(中西委員)
かなり細かいところまで要求される。機種とか、基数とか。

【加藤ワーキンググループメンバーが「北条砂丘大規模風力発電所シミュレーション1の前提」について説明】
(坂梨委員)
設備利用率が22%というのは間違いないか。
(林委員)
計算は間違ってないが、自然現象なので多少の変化はあると思う。
(宮内委員)
送電線の埋設については?
(澤ワーキンググループメンバー)
66kVは図の黄色マーカーで示したルート。3kmというのは風車同士をつなぐのが大体3km。22kVで風車同士をつなげて、キャンプ場付近で昇圧して66kVの送電線に乗せる。それも埋設を考えている。こちらの方は、ほぼ砂丘地を通すので舗装する必要がなく、少し安い。
(光多委員長)
実際にこの会社がこの形で進んで行くとしたら、火の車ですね。途中で短期借入が出てきている。これが事業の最後まで残ってしまう。どうしたらいいものか。
(坂梨委員)
大まかに言うと、利益処分で毎年7百万円というのは、損益計算上仮に利益が出ているとしても、銀行はこういう金を貸すのを許さないし、又、経営としてもこういう金を払っちゃいけない。出資する人が何のために出資するのか。全く金利のつかない出資をやるのは何のために誰がやるのかという問題を抱える。その人が債務補償をしてくれると思えるかというと、思えない。
(光多委員長)
これからの検討として、町からつぎこむものが何かあり得るのか。計算としてはかなりシビアだ。

【加藤ワーキンググループメンバーが「北条砂丘大規模風力発電所シミュレーション2の前提」について説明】
(光多委員長)
資金過不足が17年目でやっと解消する。風車の容量が大きくなるので良いかと思ったが。
(林委員)
それは設備利用率の関係だ。
(光多委員長)
初期投資が1,500kWから2,000kWになることよりも、もっとマイナスがでる。
(澤ワーキンググループメンバー)
建設費が1,500kWだと1kW当たり20万円を切っていたが、2,000kWだと22万円になってしまう。2000kWがもう少し量産されれば下がるかもしれない。
(林委員)
もう一つは送電線。送電線が高い。ここは5億もかかる。
(光多委員長)
規模の利益があると思ったが。
(坂梨委員)
2,000kWは建設が難しい。建設する機械がないわけではないが、金がかかる。高さが100mにもなると、分けて運ぶにも4つくらいに割らないといけない。
(杉田委員)
最初の資本金を町がどの程度負担するのか。そこが一点と、収入が売電収入のみしかないのか。可能性としてしか言えないが、風力発電で何かそれ以外に収入があがってくる方法はないか。それから、第3セクター(事業体)が町に払う固定資産税や法人事業税を、3年間は町が圧縮し、支出を抑えていくような方法を考える必要がある。事業計画というのはマックス(最大値)で考えなければいけないと思うが、それをどの程度圧縮できるのか、それが知りたい。このシミュレーションはあくまでも最悪のパターンというか、厳しい数字で考えてあるとは思うが、私は町民としてどうしてもこの風力発電を推進したいと思っている。風況精査して、他では風力発電としては風が吹いても向いてないから対象になっていないが、北条の海岸付近が可能性として挙がってきているのは、他に資産的なものがない北条町の中にあって、1つの誇りだと思う。
(加藤ワーキンググループメンバー)
このシミュレーションは確かに厳しい数字だと思う。事業収支について、もう少しつめていく必要がある。

【加藤ワーキンググループメンバーが「北条砂丘大規模風力発電所シミュレーション3の前提」について説明】
(林委員)
1,500kW×9基でもきつい。もし儲かるのであれば、民間企業がやっている。わざわざここに我々が集まって鳥取県に風力発電を置こうというのは、そのメリットを別のところに考えないといけない。二酸化炭素の排出権取引というのが、風力発電にどう影響するのか。風力発電を持っている所はその排出権を売ることによって収入になる可能性がある。来年4月からRPS制度が始まる。これは、電力会社が証書を電力1kW当たり4円で買い、後の残りは7円とか11円とかで売買する。そうすると、トータルとして12円くらいにはなる可能性がある。
(坂梨委員)RPS証書が1kWあたり仮に4円とされているが、根拠はなく、何も決まっていない。売電の値も7円なのか11円なのかも分からない。ヨーロッパで実際にRPS制度をスタートしている所では、大体当初予定した価格よりも低い。ちょっと参考に。 (林委員)
坂梨さんは、儲けなければいけないという立場で話をしている。実は、全国で風力発電をやっている所はこういう計算をしていない。こういう検討までして、かつ自治体が加わってやるということには非常に意味があって、自治体は儲けなくても良いと言う前提でやっている。
(坂梨委員)
今日は電源開発の人間というのでなく、個人の立場でここにやってきている。それで言うと、誰かが金を出さなければならない。その誰かが誰なのか。このままの状態では、北条町が一般会計か何かでもうちょっと工夫しなければならない。

【中西委員が「風力発電先進地調査」、「地域エネルギーのまちづくりにおける位置づけ」、「北条町の収支状況について」、「北条町としての収支状況」、「用地の買収及び利用について」について触れるが、前回の研究会で説明済みなので、詳しい説明は省略。】
(光多委員長)
町の財政としては、どの位お金が出せるのか。
(中西委員)
「財政調整基金残高」というのが貯金で、今時点のお金はこれだけしかない。でも、これも一時に出せるわけではない。今回のシミュレーションで行くと、支出として、出資金と用地購入費、あとプラスアルファを考えないといけない。歳出を出すよりも固定資産税を減らす方がやり易いかなと。
(光多委員長)
1つの方向性を探らなければいけないが、今の形だと2,000kW×9基というのは無理だと思う。1,500kW×9基で行くのか、1,500kW×1基で行くのか。町としてどういう方向で行くのか。9基でやる形で申し込みは出してみて、で、採算上は間に合うような数字を作っておいて、で、実際どういう形で事業化していこうかということを考えるということではどうか。他の所で行政自らやっている所が結構あり、それぞれの町の政策として本来の仕事だということでやっている。従って、北条町がこれからどういう方向で行くのか。例えば環境北条町とか、行政の中で、どう位置づけるか。1つは町が直接事業を行うということ。これは他にもたくさんある。もう一つは第3セクター。この場合は何%か分からないが、出資をしていく。3つ目はPFI。これは、町としてこういう風力発電という環境に良い施設を作っていただくということで、企業体に対してお金を払う。私の感じで行くと、1,500kW×9基でとりあえず進めていっても何か先が見出せると思うし、もう一つ、お金では換算できないかなりの経済効果があると思う。だから町としてこれだけのお金が出せる、という理屈にもなる。
(坂梨委員)
最後の土地の資料で、こういう格好でいくと、ちょっと勿体ないなという感じがする。通常風力発電だと、こういう土地の買い方をやっている所はないはず。地元の事情とか、ある程度はあると思うが、その辺は全部無視して感想だけ言うと、この土地を買うために結構なお金が先程の基金の中にもあって、あれを幾らか資本金の方に回すことができれば。例えば、短期借入金が消えそうな位のものが、土地購入代金で使われてしまう。この辺をちょっと何とかできないのかなと思う。
(町長)
風車のローター直径が80mということだが、敷地は実際にはどれ位あれば良いのか。
(坂梨委員)
実際にやっているところを見ると、10mの基礎部分のみを借りたり、買ったりしている。ローター下の80mの部分については、例えば、行政と一緒にやっている牧場のようなところでは、何も経費がかからない。ただ今回のように民有地ということになると、上空使用阻害ということに対して、地役権として地代の2〜3割をご免なさい料として支払う。 (町長)
風車建設予定の国道9号線付近の土地には、北条町の下水道処理場や、広域連合の一般廃棄物最終処分場があって、ここは地代がかなり高い。公共施設用地として、1反当たり1千万円くらいになる。これを農地として買えば100万円〜150万円。土地の問題が難しい。基礎部分のみ購入ということになれば、今の計画よりかなり安くなる。それから、今9基建設予定ということだが、現在風況調査用のポールが建っているところは、北条放水路の予定地である。それより西の下水道処理場付近には、国道9号線と国道313号線のインターチェンジを作ろうという計画もある。
(光多委員長)
いろいろと町の事情があるようだが、それは又検討することにしましょう。
(杉田委員)
道路沿いに9基あるというのは、観光面からいうと非常に目につく。大体山の上に行かないと見えない。付加価値がどういう数字であがってくるのか分からないが、観光面からいうと、付加価値があがってくるのではないか、それが何年続くかは分からないが。近辺の農業振興や遊休農地の活用を進めたり、風力の電力を使って新たな事業をするとか。<BR> (光多委員長)
大体関連事業をやると、失敗する。
(岩木委員)
この間の話でもあったが、3基くらいから始めるとして、つなげるための送電線の工事を中国電力が負担するということにはならないか。
(中西委員)
3基は、町内の電線につなげなくなる。
(岩木委員)
だから66,000Vにつなぐのだが、つなぐための送電線工事は中国電力がみてくれるということにはならないか。これから市町村合併を控えて30億円の事業をすると、そうなった時にどうしてもやろうとすれば、部分払いというと変だが、3基くらいからするのが良いのでは。
(光多委員長)
3基くらいでやると、投資が非常に大きくなってしまって、収支が良くない。3基を計算すると、かなりきつい。3基とするか、9基とするか、ある程度方向性を出さないといけない。
(穐田委員)
採算ということで、ある程度シナリオを作っていかなければいけないのかなと。一つは売り上げというものをどういう風に見積もっていくか。状況が悪かった時の事もある程度考えておいて、それだけリスクがあるならどうやって補填するのかという所まで考えておかないと怪しいかなという感じがする。それから、風力発電には、投資と調達、この2つの問題しかない。投資額をどれだけにするか、調達をどうするか、その辺もちょっと曖昧だなという感じがする。さっき岩木さんもおっしゃったように、3基というのはリスクに対して現実的な数字だと思う。もちろん目的とか目標とか、テーマもあると思うが。そこは誰がどれだけ負担するかというシナリオも必要だと思う。そこは色んな判断があると思うので、この所はこういう具合にしたいということがあれば、町民も納得すると思う。
(光多委員長)
9月の系統連携事前申込のために、3基とするか、9基とするか方向性を出す。
(林委員)
風車3基の検討もしてみたが、今走っている送電線では1基しか建てることができない。3基建てるとすると、送電線を引くだけでものすごい金になって現実的にもっと悪いということになる。
(穐田委員)
現状では、9基がベターだということか。9基にしても1基にしても、どういったシナリオで補填ができるのかということだ。シミュレーションして、リスクに対してどういうふうに持っていくのかということを考えないと。
(光多委員長)
とりあえず9基と考えて申込し、話を詰めましょう。9基でもいろいろなリスクはあるだろうから、いろいろ検討した結果、入札のある4月ごろに3基に変更するというのは、あまり問題はないか。イメージは良くないだろうけども。
(宮内委員)
NEDOの補助率を考えて、3基づつ毎年建てて、最終的に9基にするということは考えられないかという話もあったと思うのだが。
(林委員)
3基ずつ3年続けて建てるのが、それを1年に3基としてカウントしてもらえるかどうか。3基ずつ3年やって、毎年補助率が2分の1受けられるという、そんなうまい話があるかどうか。
(中西委員)
前回の研究会で出ていた3基でという話は、現在町内にある送電線につなげればというのが前提だった。
(宮内委員)
それが1つと、5,000kW以内だと補助率が良くなるということがあって、2つのメリットがあると考えていたが、1つはダメになったと。ただ、2分の1の9掛けだと、45%となって、補助率3分の1の場合とかなり違う。そういうことができれば、その方が良いのではないか。
(澤ワーキンググループメンバー)
今町内を走っている6,600Vの送電線は、東側からと西側からの2系統しかなく、1基づつつなげたとして2基しか建てられない。6,600Vの送電線には2,000kW以下の風車までしかつなぐことができないとのことだった。
(坂梨委員)
2,000kWというのは公式には表明していないはずだし、表明できることではない。結構ケース毎の交渉ということはあると思います。3基で交渉するのは大変な事だと思うが、 あり得ない話ではない。少なくとも公式にそういうルールがきちっと宣言されている訳ではない。
(林委員)
やるとなれば、中国電力の本社と交渉することになるだろう。前例を調べたが、これまでにはない。しかし、本社に行って風力発電をやらなければダメじゃないか、という話になると思う。
(杉田委員)
坂梨さん、この北条町の風力発電、民間企業から見るとどうなんですか。
(坂梨委員)
ビジネスマンとしてやるとしたら、まず手を出しません。5.65m/sという平均風速で今まで資料を拝見した感じでは、ビジネスマンとしては手を出しません。
(杉田委員)
それは、例えば売電という事が前提ですよね。売電収入ということで、それが儲けの種だと考えるということなんですけど、例えば最近聞くところによると採算度外視でも、風力発電施設を建てたいという業者があるんじゃないでしょうか。
(坂梨委員)
例えばこういう例があります。採算度外視ということは、ビジネスマンである限り絶対ございませんで、表面から見て見えないということです。風車を売って、それを17年で回収できないというのは採算度外視という様に見えるが、風車を売った瞬間に戴いている代金の中に、もらうべき儲けは入っている。大体こういう業者が世の中に非常に多くて、物事をおかしくしている。先日も見てきたが、20基くらい北海道の海岸線に風車がずらっと並んでいるが、1基も動いていない。税金が20億円くらい投入されていて、メーカーは風車の代金を全部もらって、後困っているのは町です。イメージダウンも甚だしいし、風車も建てたけど回っていないという悲惨な状態になっている。
(光多委員長)
9基か3基かという話があり、中々結論が出ないかもしれませんが、私の提案としては一応9基でやるとして、今後その条件を詰めていくと。そういう形でやってみてはどうでしょうか。
(中西委員)
どうしても9基というのが難しいようだったら、その時に1基というのも考える、と。
(林委員)
私が思うには、鳥取県が環境先進県と言っている中で、風車を建てる、と。鳥取県にこういう場所があって、地元の企業が参加してそういう環境に配慮して、しかもエネルギー産業をやるということに非常に意味がある。ぜひ風力発電を、産・官・学が一緒になって興そうというのがこの最初の趣旨。儲かるか、儲からないかというのは本当は二の次。だが、今まで地方自治体がやってきたような、儲からなくてもやっているというようなことが起こらないようにこういう会議をやっている。
(若委員)
町が主体となって事業をやるとなると、住民等の理解・協力がないととても事業がうまく行かない、ということが一つと、事業に17〜20年かかるわけだから、子供達が早い時期に意識を持って町の運営とか、町づくりに関心を持っていくことが大事じゃないかという趣旨で、小・中・一般・事業所を対象に新エネルギーのアンケート調査をやっている。頭に多少のイメージはあるようだが、具体的な事になるとさっぱり分かっていない、というのが現実。やはり強い住民のバックアップが必要だという事を今痛切に感じている。だから町の方も、事ある毎にそういう啓発活動を、風車を作ってから啓発するんではなくて、作るための啓発活動を十分やっていただきたいと思う。あと収支を考えるときに、風力発電機の諸元、例えば発電量。2,000kWというのはデータとしてはないし、1,500kWはかなり幅広く機種がある。だから、その機種を何機種くらい対象に調べたのかという事と、ここに挙がっている諸元の中で、どの量を一番重視したのか。例えば定格風速なのか、カットイン風速なのか、カットアウト風速なのか。そういう事によって、設備利用率が変わってくる。何機種くらい想定して、どの部分を一番重視したのか。その辺りを聞きたい。
(澤ワーキンググループメンバー)
パワーカーブを持っていた5機種。その5機種の内、設備利用率が一番良かったのが1,500kWだった。
(若委員)
例えば1,500kWにしても、機種を探せば定格風速が多少変わると思う。その辺りをどうするかによっても発電量が変わるかなと。
(澤ワーキンググループメンバー)
一番効いてくるのは定格風速が低いものだ。
(若委員)
だから、1,500kW何機種くらいかの中で、例えば定格風速が一番低いのを採りました、と。そういうふうだったら納得ができるが、もう少し機種を調べてください。
(加藤ワーキンググループメンバー)
2,000kWについては新しい機種ができて、まだパワーカーブ自体が手に入っていない。今週中くらいに届くというような機種もあって、検討はしていきたいと思う。
(光多委員長)
今日の結論として、具体的な話は又ワーキンググループの調査で、具体的にどんなリスクがあるのか検討していきましょう。
(町長)
当初から、環境問題に取り組んでいかなければいけないと考えているので、風力発電を実現するためにぜひこれからも十分な議論をお願いします。1,500kW風車を9基でという話であった。かなりシビアな内容だったが、どういう形になってもやっていきたいと考えているので、皆さん方の貴重なご意見を頂いて、これから生かしていきたい。




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